第6章 野菜の調理方法による嗜好の変化―小学生のピーマンの嗜好の変化―
女子栄養大学短期大学部 小川 久惠
3 結果

(2)官能評価結果

 調査に先立ち行ったアンケート調査で、その結果からピーマンを嫌いとしたグループと好きとしたグループに分け、さらに嫌いとしたグループの中で、3種の料理をすべてマイナス点で評価したものを1)特に嫌いグループ、残りを2)嫌いグループとし、そして、3)好きグループの3グループに分け、官能評価の結果をまとめた。なおそれぞれの人数は、特に嫌いグループ5人、嫌いグループ24人、好きグループ36人である。

 1)特に嫌いグループについて
 図6に評価結果を示した。

 ソテーについては、外観の色はふつうと評価されたが、他項目の評価結果は、つやはある、ピーマンくささは強い、苦味は強い、味全体の評価についてはまずい、料理全体の評価は嫌いという結果であった。

 肉入りソテーおよびじゃこ煮は、各項目ともに、ソテーの評価に比べると、ピーマンくささや苦味についての評価が緩和され、味がまずいからややまずいへ、全体の評価が嫌いからやや嫌いへとわずかに上ったが、有意な差ではなかった。これらの結果から、ピーマンを嫌うものは、どのように調理しても嫌いを改善する事は、容易ではないと思われる。

 2)嫌いグループについて
 図7に評価結果を示した。

 ソテーについては、色、つやはややよい、ピーマンくささはややくさい、味はやや苦い、味としてはふつう、料理全体としてはふつうと評価していた。

  この点、肉入りソテー、じゃこ煮はソテーの評価に比べると、ピーマンくささ、苦味が有意に緩和され、味の評価および料理全体の評価も上った。

 3種の料理の評価平均値を特に嫌いグループの結果に比べると、ピーマンくささ、苦味、味、全体の評価が高く評価されていた。
 3)好きグループについて

 図8に結果を示した。

 ソテーについての評価は色、つやはよい、ピーマンくささはややある、苦味はやや苦いとなり、味についてはややよいを上回り、料理全体の評価はよいからややよいの間で、嫌いグループに比べると全体の評価が高かった。

 この点、肉入りソテーはソテーに比べると、ピーマンくささ、苦味の点で評価が上り、味の点および料理全体では、おいしい、好きと、評価された。

 じゃこ煮については外観の色でソテー、肉入りソテーに比べて低く評価された。これはじゃこ煮の加熱時間が長かったため緑色が退色したためと考えられる。3種の料理間に色の点で評価の差が出たが、特に嫌いグループと、嫌いグループでは色の点で評価の差は見られなかった。ピーマンくささ、苦味、味の評価では、肉入りソテーと同様にわずかの差ではあるが、ソテーの評価を上回っていた。


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