第6章 野菜の調理方法による嗜好の変化―小学生のピーマンの嗜好の変化―
女子栄養大学短期大学部 小川 久惠
3 結果

(1)ピーマンの好き嫌いとその理由について、のアンケート調査による結果を図3に
示した。

 ピーマンを嫌いが44.6%、好きが55.4%で、好きが嫌いを約10%上回っていた。

 ピーマンを嫌う理由について、その内訳(図4)を見ると、味をあげた児童が96.6%ともっとも多く、さらにその内訳をみると苦味が96.6%と圧倒的であった。

 においをあげた児童が86.2%であり、食感については51.7%が嫌いと回答していて、その理由としてぐにゃとしたやわらかさ、シャキシャキ感、いくら噛んでも口に残る硬さをあげている。ただし、ピーマン料理の持つシャキシャキ感については、ピーマンを嫌いと回答した児童のうち、44.8%は好きと回答している。

 色が嫌いとした児童は17.2%と少なかった。

 ピーマンが嫌いなものは苦味のある味とにおいを好まず、色やシャキシャキした歯ざわりは余り嫌われていないといえる。
 ピーマンが好きな理由について結果を図5に示した。

 味が好きと答えた児童が97.2%と最も多く、そのうち、その理由として苦味をあげたものが61%あった。

また、においをあげた児童が94.4%であった。

 食感については84%が好むとなっており、そのうちシャキシャキ感を好む児童が72.2%、ついで軟らかさを好む児童が11.1%あった。ただしその中で、ぐにゃとした軟らかい食感が嫌いと答えたものが11%あった。

 色については、ピーマンを好むものは100%が好んでいた。

 ピーマンを好むものは苦味、におい、食感、色を好んでいると言ってよい。
 なお以上のアンケートによる調査結果は、昨年、当フォーラムが行った調査結果報告書「野菜のおいしさ検討部会報告書」(P913))中の、ピーマンの好き・嫌いの理由に関する調査において、嫌いな理由として「1位.苦味が嫌い、2位.味が美味しくない、3位.匂い・香りが嫌いと、また好きな理由として、1位.味が美味しいから、2位.彩り・緑色がよい、3位.苦味が好き・良い、4位.栄養が豊富だから、5位.食感がすき」(以上要旨)と報告されており、多くの点で共通している事が見て取れる。

 これらの事から、ピーマンの特徴である鮮やかな色、独特のにおい、味、歯ざわりについて、色を嫌うものは少ないが、特徴のあるにおいや苦味、および食感について、ピーマンを嫌うものはこれらの故に嫌い、好むものはこの特徴の故に好んでいると言うことができる。


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