第7章 ピーマンの香りに関する調査
お茶の水女子大学大学院 久保田 紀久枝
1 はじめに
 ピーマンは、子どもに好まれない野菜の一つであるが、それは緑色のピーマンについての調査である。最近、黄色、オレンジ、赤など様々な色のカラーピーマンが出回り始め、その中で、赤ピーマンは比較的手に入りやすくなった。緑色ピーマンは未熟果実で、完熟したものが赤ピーマンである。緑色ピーマンは開花から収穫まで20−30日であるのに対し、赤色ピーマンはさらに4週間以上畑で育てられ完熟した果実である。栽培期間が長い分、栽培に諸費用がかかり、かつきれいに完熟させるにはそれなりの技術も必要で、必然的に小売価格が高くなり、赤ピーマンの消費はまだ少ないようである。しかし、赤ピーマンは、緑色ピーマンのような苦みがなく、味がマイルドで緑色ピーマンが嫌いな子どもにも好まれるのではないかと思われる。

 緑色ピーマンが嫌いな理由の一つに青臭い匂いがある。そこで、完熟した時にその匂いはどうなるのか、やはり青臭いのかどうか調べてみた。


2 ピーマン試料について

 2009年8月上旬に、同時に収穫された緑ピーマンと赤ピーマン(品種:京みどり)を試料とした。緑ピーマンをよく見ると、かなり成長し一部赤くなっているものもあったので、写真のように未熟、成熟、完熟ピーマンとして3成熟段階に試験的に分けてみた。果実の重さは、未熟緑ピーマンは、1個の重さが19.1g〜38.2gで平均27.3g、成熟ピーマンは25.4g 〜83.6gで平均値44.7g、完熟赤ピーマンは36.4g〜82.4gで平均値61.8gであった。

 加熱方法は、一つを半分に切り、一つ分ずつビーカーに入れ、ラップをかけ、500Wの電子レンジで緑、成熟、赤ピーマンそれぞれ、1分、1.5分、2分ずつ通電加熱し、ただちに氷中で冷却し、加熱試料とした。



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