第8章 スイカの甘み表示に関する意識調査
千葉県農林総合研究センター 宮崎 丈史
1 はじめに
 スイカを購入する消費者は、以前からおいしさの“当たりはずれ” に悩まされてきた。スイカのおいしさの中で、甘みの占める地位は極めて大きい。このため、近年、量販店を中心に甘みを表示して販売する傾向が強まっている。しかし、表示方法や表示の基準は、販売サイドに任されており、現状では販売店によりまちまちである。

 そこで、消費者を対象として試食を伴うアンケートを行うことにより、甘み基準の妥当性や表示の必要性などに関する調査を行い、表示の活用方法を検討することとした。


2 調査方法

 大手量販店において、スイカ果実を試食サイズに切り分け、これを来店した消費者に店頭にて試食させ、その甘さとおいしさについて評価させるとともに、関連するアンケートを実施した。

(1) 調査に用いた果実
 調査に用いたスイカ果実は、長野県のJA松本ハイランドより入手した。品種は「祭りばやし777」(萩原農場)である。糖度の異なる2種類のスイカを供試するために、あらかじめ選果場にて非破壊による糖度選果を行ったスイカを用いた。糖度12のサンプルを選定するために用いた果実は、1果重が8kg程度(階級:2L)の果実であり、糖度10のサンプルを選定するために用いた果実の1果重は6〜7kg(階級:M〜L)であった。

(2) 試食品の調製と糖度チェック
 量販店のバックヤードにて、果実を縦に16等分した後、各々を中心部を必ず含むように8部分に分割した。これらのうち両端の部分は除外し、その他を試食品とした。

 糖度チェックは、四角錐形となった果肉の先端(中心部)から約1/3の長さの部分を切り取り(可食部の果肉重量比では1/6程度)、これをニンニク絞り器で搾汁した。搾汁液はデジタル糖度計で糖度を計測するとともに、糖分の分析に供するものについては、その一部をプラスチックチューブに採取した。

 果汁は、糖分の分析を行うまで、−20℃で凍結保管した。糖分分析は(財)日本食品分析センターに依頼した。同センターでは、果汁を解凍した後に希釈し、高速液体クロマトグラフで糖含量を定量した。

(3) 試食及びアンケート調査
 消費者への食味調査には、糖度10(実数値は10.0〜10.5)をサンプルAとし、糖度12(11.9〜12.5)をサンプルBとして提供した。なお、両者はできるかぎり糖度2の差となるように組み合わせた。試食品の品温は、バックヤード及び店内と同様であり、25℃前後と推測された。

 調査は、大手量販店の協力をいただき、平成21年7月22日に春日部店(埼玉県)及び同年7月23日に幕張店(千葉県)にて実施した。両店は、駅前や大規模住宅街が隣接した国道沿いにあり、同大手量販店の中でも来店者数等が中庸な店舗とされている。

 調査は2名の女性調査員が担当し、最初に試食サンプルのAとBを食してその評価をさせた後、質問票に沿い、聞き取りを行った。なお、調査実施と調査票の集計・解析は(株)シフラに委託した。



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