第9章 野菜のおいしさに関する意識調査とタマネギの官能評価
味覚と食嗜好研究所 山口 静子
3 タマネギの官能評価

3.2 結果

1)評価者の野菜に対する意識
 初めに評価者の特性を知っておく必要があるので、代表質問に対する回答者の同意度を図8に示す。比較のために先に行った283名の意識調査の男性と女性の平均値(図中では「一般」とした)を同時に示す。

 図8の分布で見ると、評価者の方が一般より本来の野菜らしさや、個性、野生味の喪失感が高く、特に果物の甘過ぎについてはより強く感じている人が多い。特に評価者は、野性味と果物の甘過ぎについては、分布が2山になっている。これはそう思う人のなかでも特別に強くそう思っている人がいることを示している。このままでは本来の野菜らしさが失われることへの不安感は一般より評価者の方が少なかった。

 また、上記の6項目について55才以上の高年層とその他に分けて平均値をプロットしたのが図9である。評価者の集団では、果物が甘過ぎる、については高年層の方が強く感じているが、野菜本来の味や野生味の喪失感については年齢差がなかった。つまり、高年者、若年者いずれもこの点については同様に問題意識を持っている人が多かった。

 また、タマネギに対する価値観の7段階評価結果は図10に示す。タマネギを好まない人はほとんどいないが生食はあまり好んでいない。煮込みや炒め物を好んでいる。


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