ここでは7haの直営農場を中心として、F1大根の採種をしている。雨が少なく乾燥したこの地域は種を作るのに適している。契約農家も300件あり、その面積は合計100haになる。
山東省は水のないところで2キロ以上下った湿地帯に井戸を掘り、水を引いている。土づくりに15年の歳月を費やした。
種を採るのに適した乾いた土地は、干ばつの影響も受けやすく、不作と豊作の差が極端になる。中原採種場(株)では、天候で収穫量がぶれないように、中国以外にもアメリカ、イタリアなど、さらに遠方では南アフリカやチリでも種を作り、地球規模で安定供給できる体制を作っている。
種採りの細かい作業は現地スタッフが中心に行っている。この根気のいる作業は、日本ではもうやる人がいない。ここ5、6年人件費が高騰し、若い男性の月給は日本円で25,000円ほどになった。公務員の給料も同時期3〜5割上昇している。
大根は10〜11月に種を播いて育苗する。冬の寒さに当てて年を越し、3月に定植、6〜7月に開花、8〜9月に種をとる。この間約10〜11か月間を要す。マルチをベタ張りし、すべて露地栽培で作る。
内村社長は「1994年、今から17年前には青島空港からこの事務所まで家が数軒しかなかったのが、高速道路も整備され、地域も発展した」と目を細めて語る。
中国政府は、ここ十数年急増した種苗会社を、資本金を大幅に上げることで減らす政策に転じるなど、気がかりな動向もある。
窓の外に広がる広大な大根畑。よく見るとバスの車窓から見えた埃っぽい畑とは明らかに違う黒々とした肥沃な土。土づくりの成果を目の当たりにした。事業を現地スタッフに任せるまでに至った今日までのご苦労を思った。
この後、バスはポプラの樹林帯に囲まれた高速道路を山積みのトラックに紛れてひた走ること3時間半、18時に維坊市のホテル富華大酒店に到着。
ホテルに併設されたレストランで広東料理の夕食。まずは青島ビールで乾杯。大根、玉ねぎ、ブロッコリー、青梗菜など地元の野菜がふんだんに使われた12品ものお料理を堪能した。
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