●中国山東省(維坊・青島)野菜事情視察研修旅行レポート●
【期間】
2011年10月23日(日)〜26日(水)
【訪問地】
<23日> 中原採種場株式会社中国現地法人
<24日> 寿光農産品物流園(寿光市野菜市場)
元・安丘市商業集団グループ「日本向けねぎ加工場」
維坊得潤食品有限公司(日本向けたまねぎ加工場)
<25日> 撫順路野菜卸売市場
青島ビール工場など青島市内観光
<26日> テーブルマーク株式会社中国検査センター
蔬菜科学技術学園
レポート担当:<23日>白戸啓子 <24日>脇ひでみ <25日>新田美砂子 <26日>領家彰子
<26日>(4日目)
 朝8時青島市国敦酒店を出発、北へ約1時間バスに乗り、即墨市にある JTグループの食品会社、テーブルマーク株式会社・中国品質管理センターを見学しました。即墨市はガイドさんの話によると、繊維産業が盛んで、老酒が有名とのこと。田園地帯を抜け商業地に入り、真新しい落ち着いた色調のビルに着きました。
●テーブルマーク株式会社・中国品質管理センター
 塵一つ落ちてないくらいに掃除された室内、最初に事業概要の講義を受け、その後検査室の見学です。

 センターは、「日本と同じ」厳しい目でチェックし、安全の確保、品質価値を向上すべく、お客様支持率No.1を目指す、最高水準の安全管理体制を構築するために、2008年に設立されました。中国内グループ会社をはじめとする日本以外の国・地域で生産した商品に対する品質向上活動、お客様対応業務を行っています。品質管理は監査と検査の2チームに分かれて行われ、監査は工場監査、圃場や包装材料の原材料などの点検、生産立ち会いをし、「安全」な商品が生産されていることを現場レベルで総合的にチェックしています。検査は、理化学検査(残留農薬、重金属、GMOなどの検査)、微生物検査、商品検査、情報管理の4部門に分かれ、法基準に適合した「安全」な商品であることを検査確認しています。

 説明が終わり、見学開始です。各室、ガラス張りで、機器、および検査の様子が手に取るようにわかるようになっていて、お客様への「安心」に対応しています。見学者の私も機器の種類、徹底した検査体制には圧倒されました。

 見学後、質疑応答がありました。「農薬の検査については、原料・商品検査の他、農薬そのものの検査も行う」「監査員は大学では養成しないため、鍛え上げなければいけないので、人材育成に時間が必要」「サンプルの取り方は各圃場ごと」等々。時間が足りないくらい充実した時を過ごしました。


監査の様子(講義映像から)

理化学検査の様子
●蔬菜科学技術学園 
 次に向かったのはバスで30分、青島市「蔬菜科学技術学園」で、総合的な観光農園です。1996年に青島市が創設しましたが、現在は株式会社が運営しています。小学生や幼稚園生が遠足で見学をして農業の知識を広め、収穫の喜びを体験する農場として親しまれています。また、実験農場として、慣行農業とは別に新栽培法のテスト、たとえば養液栽培新品種のテスト(海外から導入)、南方の果物の栽培、きのこ栽培などに取り組んでいました。

蔬菜科学技術農場 略図

中国独特のハウス
 山東省のバスの車窓から不思議な物を見ました。片側に土盛りしてあり、太陽に向かって湾曲したビニールの覆いがしてある畑が延々と続くのです。何かな、何かなと思っているとビニールハウスとの説明がありました。中を見たいなと思っていました。その機会が訪れ、この農場にありました。中に入ると、目にしたのはパパイア、ドラゴンフルーツ、グゥアバなどの熱帯の果物が実をつけていたのです。着ていた上着を1枚、1枚と脱いでいく暖かさ、暑い位です。多分30度はあったと思われます。ハウスの中は下の写真にあるように充分に高さがあり、作業も楽に出来、広いのです。熱帯の果物だけでなく、有機栽培による葉物(例、ユウマイ菜:海外から)、養液栽培(トマト)などが育っていました。
 ハウスは10年くらい使用でき、冬風が強いときは藁のむしろで覆って保護し、4〜5月には覆いを外し、畑にします。ここは見せる農場で、土盛りはコンクリート製でしたが、土製のハウスもあるとのことでした。

 きのこの栽培も見学しました。ハウスの天井を藁のむしろで覆った薄暗い中を進むと、ビニール袋の束が所狭しと並べられていました。これはなんだ! 最初は解りませんでした。ビニールの口から"ひらたけ"が頭を出しているのを見て、キノコだ!と思わず叫びました。側で作業をしている人に聞くと、菌を培養し、綿の殻を利用した床に菌種を入れ、2日に1回散水し、5日くらいから採れ、3〜4ヶ月使えます。なんと綿の殻の束でした。

ハウス パパイア

ハウス ドラゴンフルーツ

綿の殻から頭を出したヒラタケ

綿の殻の束

 学びと収穫、1日楽しめる農園でしたが、私たちの見学は1時間。

 帰路につき、青島国際飛行場に到着。夕焼けの中、飛行機は東京に向かい、無事成田空港に到着しました。

 研修旅行は多くの方々のご協力により、実り多い時を過ごせました。貴重な機会をありがとうございました。

>>> 研修旅行のトップへ