8:00にホテルを出発。出発前に、今回の研修地を現地で手配してくださった李漢卿(Li
Hanqing)さんと対面した。李さんは、3年前の上海野菜事情研修旅行の際にお世話になった上海農業科学院園芸研究所の陸世鈞さんの同僚でもあったとのこと(現在は不動産関連の仕事に携わっておられる)。上海での貴重な研修をなつかしく思い出しながら、ご同行いただけることを喜んだ。
バスで高速道路を約1時間半かけて寿光市野菜市場「寿光農産品物流園」へ向かった。車中では、ガイドの唐合梅さんから野菜や産地情報を中心に、維坊市、寿光市の基本知識を教わる。野菜栽培に適した土地として有名な地域で、政府が指導して、日本だけでなく韓国、ロシアにも輸出、インターネット販売も積極的に行っているそうだ。
そもそも寿光市界隈は、新しい野菜の種が日本など各地から輸入された際に、山東省での栽培に合うかどうかをテストをする地だったとのこと。1,000種ほどの内500種は成功しており、特にミニトマトは大成功をおさめていると聞いた。山東省としてはにんにくの生産が多く、その内の70%は輸出用。しょうが、ねぎ、とうがらしも山東省産が多い。価格のコントロールも必要で、例えばしょうがなどは、今年は去年の価格の10分の1になったので、産地は掘るのをやめているといった話もあった。
維坊で有名なのは、ライオンのりんごといわれる緑色の大根「維坊青(イボチン)」で、皮も食べる。やや甘く辛く、りんごのような果物の味わいだとか。その他、なす、ピーマン、ミニトマト、セロリ、ビニールハウスでのバナナ栽培も成功している。
寿光市は中国の南北の中心にも位置しているところから、大きな野菜卸売市場ができ、山東省はもとより全国各地から野菜が集積して、再び北京などの大消費地に向けて出荷される。各産地では専用車がビニールハウスを巡って収穫物を積み、高速道路を使って卸売市場に集まる。それら巨大なトラックは、国の優遇政策で高速料金を無料にしているという。
寿光市に向かう高速道路の両側は平野で、はるか遠くまで延々とビニールハウスが連なっている。冬から4月まではビニールハウス栽培、その後は取り払って畑にするが、北向きの場合は年中そのままの栽培だそうだ。また、この研修の3日目に見聞することになるのだが、北側が土塀になっているビニールハウスは初めて見る体裁で、「あれは一体何だろう?」と首をひねっていたものだ。北風を避け、温度管理を容易にするための知恵であることを後に知った。
この辺りは地下水が豊富で、農業用の水は井戸から引いており、近くにはダムもあるので、水に不自由はないという。
緑の田園の中に、唐突に高層マンションらしき20〜30階はあるだろう建物群が連なっていたりする。以前の上海近郊でも見た、日本とは異質な光景だ。地方都市であるこの界隈でも散見されることに、中国の発展ぶりがうかがえる気がした。
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