<ヒルガオ科>
さつまいもは、別名、甘藷、唐芋、琉球藷。中央アメリカ原産。15世紀末、スペイン人がヨーロッパに持ち帰り世界に広めた。温暖な地を好む。
日本には1597年、琉球に伝来し、薩摩、長崎など九州地方に広がった。種子島が甘藷栽培の最初の地。
1735年に幕府が蘭学者の青木昆陽に試験栽培を命じ、1737年に栽培に成功。昆陽は「甘藷記」というパンフレットを作ってさつまいもの現物と共に諸国に配り、以後関東地方でも広く栽培されるようになった。
やせた土地でもよく育ち、強風にも強いため、重要な救荒作物。飢饉や戦中戦後の食料難の時代にも役立ったが、甘みが強く、主食としての作物にはならなかった。
主な品種に、「紅アズマ」(皮は濃赤紫色、中は黄白色。繊維が少なく、肉質は粉質、甘みが強い。関東地方で人気)、「高系14号」(皮は赤褐色で厚い。中は淡い黄色。甘みが強い。1945年に高知県で早堀り用品種として育成。鳴門金時などの枝変わりも多い。西日本で人気)などがある。
<栄養・効能>
さつまいものエネルギーは132kcal。食物繊維は100gあたり23gと、いも類の中で最も多く、便秘の改善や予防、血液中のコレステロールを低下する効果があるといわれる。いものビタミンCは加熱に強く安定している。
さつまいもの切り口からでる白い液体は「ヤラピン」で、腸の蠕動運動を促進し、便を柔らかくする。食物繊維との相乗効果で便秘防止によいとされる。
糖分が多いために甘く、でん粉(アミロース)を麦芽糖に分解する糖化酵素のβーアミラーゼを多く含む。β-アミラーゼは60〜80℃程度で活発に働くため、蒸したり焼いたりする過程で多量の麦芽糖ができ、甘みが増える。
さつまいものでんぷんは消化されにくく、腸内で消化しきれなかったでんぷんが腸内細菌の栄養源となり、分解されて腸内ガスが発生する。「おなら」が出やすいといわれるのはこのため。また、「胸焼け」しやすいのは、さつまいもは他の野菜に比べて水分が少ないため。胸焼けは胃酸が逆流して食道が軽い炎症をおこしている状態。ゆっくり、よく噛み、水分を補給しながら食べると防ぐことができる。
<基本調理法・料理例>
焼く、揚げる、煮る、蒸す、炒め物など。変色しやすいので、皮をむいたり、切ったらすぐに水に浸けて使うとよい。また、ゆでるときに酢やレモン汁を加えると、酸の働きにより、色鮮やかに煮上がる。
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