田畑氏は鹿児島県農業試験場場長、鹿児島大学客員教授、鹿児島県園芸振興会事務局長などを経て、現在は伝統野菜の栽培、収集、啓蒙にあたっておられます。『鹿児島の地方野菜』『地方野菜大全(内・
鹿児島県)』『日本のふるさと野菜(内・南九州の伝統野菜)』など、鹿児島伝統野菜に関する執筆多数。
先生は、伝統野菜をおいしく食べる料理法も、ご自分で楽しみながら試しておられるそうで、たくさんの写真を見せていただきながらの講義になりました。
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●スタッフである管理栄養士の松村眞由子さんからは、さつまいもに関する栄養的な知識をお話いただきました。「女性は一般的にさつまいも好きですね。ごはん1膳150gのエネルギーに相当するさつまいもは120g。いものビタミンCはこわれにくいし、繊維も豊富で、ヤラピンという成分は腸の蠕動運動を促進させる整腸作用があります。さつまいものでんぷんは、加熱されるるとβーアミラーゼが働いておいしくなるのですが、それが最も活性化するのは70℃前後。電子レンジだと一気に加熱するので、βーアミラーゼはこわれてしまいます。蒸す場合は、鍋を少し開けてゆっくり加熱するのがコツです。さつまいもを食べるとガスがよく出るのは、でんぷんが腸内に残っているのを最近が食べるから。でもこのガスは臭くないですよ。胸やけも気になるところ。水分が66.1%と少ないから胃液が上がってくるのです。因みに水分は、じゃがいもが80%、普通の野菜はたいてい90%以上含んでいます。さつまいもはゆっくりかんで食べたり、乳製品や脂肪分と一緒に摂ると胸やけが改善されます」
●東京青果(株)の宮坂守文氏からは、台風の影響で野菜が全般に高くなっているが、さつまいもは比較的落ち着いているとの報告がありました。東京市場に入るさつまいもの産地は、千葉、茨城、徳島、鹿児島の順。鹿児島は5年前には9番目だったのが、安納いもの人気で多くなったそうです。茨城県は貯蔵技術が発達していて、施設でキュアリングして翌6〜7月まで出せるようになったとか。さつまいもは、新モノより貯蔵のほうが美味。また干しいもも今年は大豊作で、安く提供できそうだとのことでした。
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