タイトル<野菜の学校>
● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2011年10月授業のレポート -


鹿児島の
伝統野菜・地方野菜の展示

 野菜の学校では、昨期、「日本の伝統野菜・地方野菜」の講座を1年間展開し、大変好評を博しました。今期は引き続き同じテーマで、毎月、昨期に取り上げられなかった一地方の、できるだけその時期の伝統野菜・地方野菜を数種取り上げます。授業は主に、「その地の専門家の講義」、「伝統野菜1種の他、地方産やハイブリッド種などとの食べくらべ」、「それぞれの野菜を生かした料理の試食」、「受講生の意見交換」で構成しています。10月は後期のスタート、新しい受講生も加わりました。

開催日:
2011年10月1日(土)
会場:

東京都青果物商業協同組合会議室

テーマ:

鹿児島の伝統・地方野菜
「さつまいも6種(黄金千貫・種子島紫いも・安納紅いも・安納黄金いも・隼人いも・高系14号)、白長なす、白丸なす、にがうり、へちま、グアバ、パパイア、田いも、みがしき」
加工品「山川漬け、かしゃむな、つわぶき、いもづる、古参竹」

スタッフ:
スタッフリスト
 さつまいもは、文字通り薩摩の国のおいも。今月の講師をお願いした田畑耕作先生のご尽力で、6種類のさつまいもがそろいました。メインは、この6品目の食べくらべ。そして独特の白なす2種、へちま、にがうり、パパイアなど南国ならではの野菜を加えた独特のラインナップになりました。
【講義】

「鹿児島の伝統野菜」

田畑耕作(たばたこうさく)氏

 田畑氏は鹿児島県農業試験場場長、鹿児島大学客員教授、鹿児島県園芸振興会事務局長などを経て、現在は伝統野菜の栽培、収集、啓蒙にあたっておられます。『鹿児島の地方野菜』『地方野菜大全(内・ 鹿児島県)』『日本のふるさと野菜(内・南九州の伝統野菜)』など、鹿児島伝統野菜に関する執筆多数。
 先生は、伝統野菜をおいしく食べる料理法も、ご自分で楽しみながら試しておられるそうで、たくさんの写真を見せていただきながらの講義になりました。

講義内容の詳細はこちら

 ☆   ☆   ☆

●スタッフである管理栄養士の松村眞由子さんからは、さつまいもに関する栄養的な知識をお話いただきました。「女性は一般的にさつまいも好きですね。ごはん1膳150gのエネルギーに相当するさつまいもは120g。いものビタミンCはこわれにくいし、繊維も豊富で、ヤラピンという成分は腸の蠕動運動を促進させる整腸作用があります。さつまいものでんぷんは、加熱されるるとβーアミラーゼが働いておいしくなるのですが、それが最も活性化するのは70℃前後。電子レンジだと一気に加熱するので、βーアミラーゼはこわれてしまいます。蒸す場合は、鍋を少し開けてゆっくり加熱するのがコツです。さつまいもを食べるとガスがよく出るのは、でんぷんが腸内に残っているのを最近が食べるから。でもこのガスは臭くないですよ。胸やけも気になるところ。水分が66.1%と少ないから胃液が上がってくるのです。因みに水分は、じゃがいもが80%、普通の野菜はたいてい90%以上含んでいます。さつまいもはゆっくりかんで食べたり、乳製品や脂肪分と一緒に摂ると胸やけが改善されます」

●東京青果(株)の宮坂守文氏からは、台風の影響で野菜が全般に高くなっているが、さつまいもは比較的落ち着いているとの報告がありました。東京市場に入るさつまいもの産地は、千葉、茨城、徳島、鹿児島の順。鹿児島は5年前には9番目だったのが、安納いもの人気で多くなったそうです。茨城県は貯蔵技術が発達していて、施設でキュアリングして翌6〜7月まで出せるようになったとか。さつまいもは、新モノより貯蔵のほうが美味。また干しいもも今年は大豊作で、安く提供できそうだとのことでした。

【食べくらべ】

 「黄金千貫」「種子島紫いも」「安納紅いも」「安納黄金いも」「隼人いも」「高系14号」を蒸して食べくらべました。また、他の野菜の簡単料理(後述)も試食しました。

 食べくらべのコーディネーターは、スタッフの村野恵子さん。食べくらべは、もちろん、「おいしい・まずい」の表現はタブーです。各自で食べくらべ、「見た目」「食感」「香り」「風味」+「各自が決める指標」の5つの指標それぞれに評価をし、五角形のグラフに記してから、6〜7人のグループ単位で意見交換・発表をします。


さつまいも6種

 

主な感想・意見はこちら

【当日の鹿児島野菜とその料理】田畑先生のお話と併せてご参照ください
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく
※各野菜名をクリックすると詳細ページがご覧いただけます
さつまいも 白なす
にがうり へちま
その他  
【その他、全体の感想より】
  • さつまいもについて、勉強になりました。

  • 野菜が少ない時期で大変だったと思います。さつまいもは見た目いろいろカラフルで、それぞれおいしかった。安納いもは有名、あちこちで売られてブランド化しているが、本物が食べられてよかったです。料理もおいしかった。

  • さつまいもを6種も食べくらべできたのは、とても贅沢でした。白なすの汁物は味が上品で、海藻の香りがフワッと立ち、なすに味がしみていて、とてもおいしかった。

  • さつまいも6種は普通ではなかなか一度に食べることができないので、よかった。グアバジュースが美味。他の試食も美味でした。

  • とても楽しく、発見がたくさんありました。

  • 6種も食べくらべることにとまどったが、それぞれ違いがあり、勉強になった。

  • さつまいもをこれだけ食べたのは初めて!

  • 初めて参加させていただきましたが、運営の皆さま、参加者の方々の暖かい対応のおかげで楽しい時間でした。いもの食べくらべもとても興味深く、野菜の色素は栄養素だけでなく、味や香りにも影響があるのではないかと感じました。料理も野菜を味わえる心遣いのものばかりで、勉強になりました。

  • 食べくらべがとてもわかりやすく、グループ進行もスムーズで、質の向上を感じました。
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