●会員による会員のための親睦・勉強会 全体レポート●
第2期・2006年5月〜2006年10月
第2期(2006年5月〜2006年10月)
講師:今野聰氏、栗山尚志氏、戸塚光昭氏、時田勉氏、荻原佐太郎氏、真柄佐弘氏

<2006年5月>
今野聰氏(副理事長・元全農)
「生協の野菜と産直運動」

 戦前から戦後、現在に至るまでの生協の野菜の産直をめぐる成果や諸問題を豊富なエピソードを交えて話された。消費者の意識や食生活が大幅に変わってきた過程で生産地や流通の現場がどう対応したか、安心・安全を求める消費者に対して生協が提案する「品質保証システム」の現状もうかがった。

<2006年6月>
栗山尚志氏(理事・元野菜茶業試験場)
「食味評価の現状と問題」

 「おいしさ」を感じるメカニズム、機器センサーによる食味・品質・評価の現状と問題点、また官能評価の方法と問題点など、日頃「食べ比べ」を頻繁に行うフォーラムでは、特に知っておきたい内容を整理していただいた。おいしさという複雑な感覚を評価するに際し、おいしさの内容を特定することの必要性、官能評価の専門家の育成など、貴重な指摘もなされた。

<2006年7月>
戸塚光昭氏(株式会社戸塚社長)
「都心のスーパーから見える野菜消費」

 東京・六本木で地域密着型のスーパーマーケットを長年経営する一方、外食業務用の卸を手広く行う中で、多様化する野菜需要にどう応えているか、大変興味深い話をうかがった。一見異なって見える業態だが、知恵やきめ細かなサービスの本質は変わらないことが、現場の生き生きとした話の中にうかがわれた。

<2006年8月>
時田勉氏(株式会社トキタ種苗会長)
「野菜とタネと私と」

 年齢と同じ数の外国を訪ねることを目標にした豊富な海外体験、特に沖縄、台湾、韓国など東洋の国々の野菜事情、そこに見るお国柄・人情の機微などを巧みな話術で話された。 各国で戦争体験が未だに尾を引くエピソードも多々。中国由来の野菜が大半の日本の現状、日本人の好みに合った野菜需要を作り出すむずかしさも垣間見られた。

<2006年9月>
荻原佐太郎氏(理事・元千葉農業試験場)
「野菜の学校 Q&A」

 2005年6月〜2006年5月、毎月、野菜の学校において、市場流通する野菜3品目の植物(作物)としての講義を担当し、35品目186点を食べ比べた経験から、率直で示唆に富む感慨、問題点などが述べられた。周年供給の野菜が多いものの、植物の生理・生態的に適期のものが美味で良質、栽培も容易であることが改めて理解できた。

<2006年10月>
真柄佐弘氏(理事・元(財)日本園芸生産研究所)
「野菜品種は世につれ」

 膨大で多様な野菜の育種はどういう背景のもとに行われてきたのか、複雑壮大な情報を巧みに整理すると同時に、育種の魅力も伝えていただいた。品種改良の目的は国によって、また時代によって変わる。世相を反映する野菜の育種が今後、どういう方向に進むのか、豊かさゆえのわがまま・おごりがないのかなど、問題提起もなされた。
(文責/勉強会担当理事 脇ひでみ)

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