●会員による会員のための親睦・勉強会 全体レポート●
第3期・2006年11月〜2007年4月
第3期(2006年11月〜2007年4月)
講師:平山一政氏、小林彰一氏、江澤正平氏、芦澤正和氏、栗本義之氏、大日向光氏

<2006年11月>
平山一政氏(早稲田大学社会システム工学研究所)
「日本の野菜をもっと多く食べてほしい」

 野菜を食べなくなっている日本人、おいしくない野菜料理を食べている日本人。それを抜本的に覆す道筋を、低温スチームという画期的な調理技術の広がりをベースに熱く語っていただいた。政策を生産補助から消費の補助へ、おいしく食べるための加工流通技術の支援へと変えたいという産官学の共同研究の成果が期待される。試食した野菜は、なかなかの新しい味わいの世界だった。

<2006年12月>
小林彰一氏(流通ジャーナリスト)
「輸入野菜を考える」

 輸入野菜が増える状況をとかく問題にしがちだが、その需要の必然的な背景、特に加工用・業務用はそれなくしては既に成り立たない現状を端的に語っていただいた。あくまで職人であろうとする日本の農業志向、安全・安心を求めながら自己責任で担おうとしない消費者など、鋭い指摘も。国際的な視野で農業技術の向上をはかる方向性も示された。

<2007年1月>
江澤正平氏(名誉理事長)
「野菜と文化 今、思うこと・・・・・・」

 農業は文化であり、野菜は文化財であるという持論から、昨今の野菜をめぐる情勢、さらに社会の風潮に対して考えることを率直に語っていただいた。論理性・合理性が優先する文明より、人間の生活に密着している文化の視点から考えることでとらえ方が変わる。格差社会といわれる今、思いやりをもち、力の弱い人間をいかに抱えて発展できるかが文化として問われているようだ。

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<2007年2月>
芦澤正和氏(理事顧問・元野菜茶試験場)
「あちこちの国とあれこれの野菜−−アフリカ諸国」

 育種素材、植物遺伝素材を求めて世界各地を訪ねる講師が今回取り上げたのは、アフリカのマリ、マダガスカル、ナイジェリアの3カ国。前2カ国はフランス、ナイジェリアはイギリスと、旧宗主国の影響の大きい野菜栽培が行われているとのこと。ただ、インフラの整備が著しく遅れているため、流通・保存にリスクが大きい様子がみてとれた。

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<2007年3月>
栗本義之氏(理事・英国王立園芸協会日本支部)
「英国の野菜事情」

 日本同様に野菜摂取量の少なさが問題の英国。店頭に並ぶじゃがいも、キャベツなど主な野菜は、料理に応じた品種の多様性が目につくとか。健康ブームで、白菜、大根などの日本野菜も人気だそうだ。地産地消より環境に配慮したグローバルな視点から身近な野菜を食べようという「フード・マイル」、有機野菜の増大など消費者の環境意識の高さが伝えられた。

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<2007年4月>
大日向光氏(料理教室主宰)
「野菜と薬膳」

 古来から中医学に基づいて、薬物と食物を配合し、病気の予防・治療、健康増進に役立つとされる薬膳。同じ野菜でも相反する位置づけになることも珍しくないなど、人体、食物に対する考え方・分析、手法は複雑を極め、それも一様ではない様子をお話しいただいた。健康志向で野菜の機能性が注目されるが、それとは別の視点とはいえ、中国の魑魅魍魎たる底力を見る思いだった。

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(文責/勉強会担当理事 脇ひでみ)

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