●会員による会員のための親睦・勉強会 全体レポート●
第4期・2007年5月〜2007年10月
第4期(2007年5月〜2007年10月)
講師:赤木静氏、亀山昌二郎氏、芦澤正和氏、上原悠子氏、遠藤竹次郎氏、藤岡輝好氏

<2007年5月>
赤木 静氏(理事・元キューピー株式会社)
「野菜の安全性と植物工場」

 野菜にも安全・安心、さらに効率的な栽培を求める趨勢に、植物工場への関心が高まっている。TSファームという、三角パネルと噴霧水耕、人口光で植物を栽培する画期的なハイテク植物工場を研究・実現した氏によって、改めてそのシステムや植物工場の長・短所などをうかがった。人口問題、環境問題で食糧確保が深刻な課題になるだろう今後、コスト面の検討はあるにしろ、改良されつつますます脚光を浴びるに違いない。

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<2007年6月>
亀山昌二郎氏(理事・有限会社昌栄企画)
「大手スーパー・加工業者が求める野菜とは?」

 野菜の種、栽培から加工、パッケージまですべての過程のコンサルタントである氏は、その延長でここ10年ほどは主に中国の農業指導に携わっている。業務用に、ロスをなくするための無謀とも思える課題、野菜で差別化を図りたい大手スーパーの難題…、それに応えてきた知恵や方策はまさに氏のキャリアならではのドラマで、流通の裏側を知る面白さでもあった。とかくおいしさが二の次になる現状も再認識する機会だった。

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<2007年7月>
芦澤正和氏(理事顧問・元野菜茶試験場)
「あちこちの国とあれこれの野菜−−エジプト」

 5つの大きなオアシスをつなぐ軍用道路を行く過酷な旅。そこで出会った野菜事情を豊富な写真と共にお話しいただいた。ヨーロッパから新しい品種も入っていて、野菜は豊富だが、それほど食べる国ではなさそうとのこと。アスワンハイダムによって、洪水がなくなったのはよいが、肥沃だった耕地がだめになり、生産力が落ちていたり、せき止められたことで湿地が広がっているなど、自然は単純に御せないらしいことが強く印象に残った。

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<2007年8月>
上原悠子氏(理事・料理教室講師)
「最近の料理教室からの実践報告」

 自治体や乳業メーカーの料理講習会、親子、男性、聴覚障害者などを対象とした各料理教室の講師として、年間約5000人に会うという氏の現場の生き生きとしたお話をうかがった。健康によい料理、レンジで簡単料理などが望まれる傾向に納得。日本料理はバランスがよく健康にも最適なものだが、カルシウムが不足しているとのことで、乳製品を手軽に上手に使うレシピも披露いただいた。

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<2007年9月>
遠藤竹次郎氏(理事・(財)肥料経済研究所)
「新しい品種が世に出るには」

 元々わずかしかなかった日本原産の野菜。それが、今日のように野菜の周年供給が進み、豊かすぎるといってもよい状況になるには、官民の膨大な歴史がある。表題にとどまらず、野菜を中心に日本の農業や農産物の流通の歴史、農業特に野菜農家の現状、今後ますます難しくなってくるだろうエネルギー問題、知的所有権の問題等々、豊富な資料・統計数値などを元にしたお話で、知るべき基本知識を整理・示唆いただく貴重な機会だった。

<2007年10月>
藤岡輝好氏(藤岡食品株式会社)
「野菜の”納め”業者としてのこだわり」

 横浜の病院や学校の給食用に野菜を納める地域の「納め」業者として、なるべく地場の野菜を届ける地産地消を心がけながら、地元に根付いた積極的な活動を紹介いただいた。種屋から消費者まで、情報が流れるしくみが必要と「よこはま青果塾」を立ち上げ、そのブランド野菜作りや食育活動も展開中。コスト削減で給食が外注されるに従って、安価で手間のかからない食材へと質が落ち、生鮮野菜が使われなくなる実態をリアルに知ることができた。

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(文責/勉強会担当理事 脇ひでみ)

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