第6章 野菜の調理方法による嗜好の変化―小学生のピーマンの嗜好の変化―
女子栄養大学短期大学部 小川 久惠
1 はじめに
 子供が嫌いな食べ物についての調査はすでに数例1, 2)されており、嫌いな食品の上位には野菜が多く、ナスやトマトとともにピーマンがあげられることが多い。

 そこで、嫌いな野菜はどのような調理方法で調理しても子供の嗜好は変化しないのか、あるいは、調理方法の工夫や、併用する食品を選択すれば変化するかについて、検討したいと考え、ピ−マンを用い、小学5年生を対象に官能評価を試みた。同時にピーマンについての好みとその理由についてのアンケートによる調査を、官能評価に先立って行い、アンケートによる調査と官能評価との関連について検討した。


2 検討方法

(1)ピーマンの好みとその理由について、のアンケートの方法
  図1に示したアンケート用紙を用いて、官能評価実験に先立って行った。

(2)試料:ピーマン
  品種:みおぎ  平均重量35から38g/1個
  産地:茨城県東茨城郡、茨城町 JA全農いばらき

(3)ピーマンの調理方法
  以下の3種の調理について官能評価を行った。

    1. ピーマンの匂いや歯切れが調理によって弱められない調理方法として、塩味で炒めたもの(以後ソテーとする)
    2. 子供が好む肉と、うま味と風味がある醤油で調味した炒め物(以後、肉入りソテーとする)
    3. じゃこ、醤油、だしの旨みが加わり、加熱時間を長めにした煮物(以後じゃこ煮とする)

(4)試料調製
  表1に示した。

(5)官能評価の方法
  官能評価は、外観、香り、味、テクスチャーおよび総合評価を主項目として、良いあるいは強い(+2)、ふつう(0)、 悪いあるいは弱い(−2)、およびその間に±1の中間点を設け、5段階から3段階の評点評価法によった。なおそれぞれの料理で必要に応じて小項目を設けた。また評価の言葉の表現は図2に示したように小学生が理解しやすいように変えた。

  試料は無色のプラスチック容器に入れ、調理後、約30から40℃で供した。供試方法は1クラスを3グループに分け、ABCの試料をグループごとに試食する順番を変え、順序効果が生じないよう考慮した。

  パネルは豊島区立駒込小学校、5年生1,2組の65名である。

(6)官能評価実施日:平成21年11月10日



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