◆日野菜 <アブラナ科>
日野町の鎌掛地区の多くの農家で作られており、「あかな」「緋の菜」「えびな」とも呼ばれる。根は25〜30cmと細長く、根の上部が紅紫色で下の部分は白色。葉は濃い紅紫色、立性でわずかに切れ込みがある。
日野町の日野菜は、紅紫色と白の色の分け目がはっきりしており、根の部分が細く長く色あざやか。その他の場所では色の分け目がはっきりしなかったり、太く短いものになったりするらしい。
現在では真夏を除いて周年栽培することができるが、一般的には夏から冬にかけて栽培される。9月末に種をまき、風が冷たくなる11月中旬ぐらいに収穫するものが最も味がよく、色も美しいといわれている。
日野菜の由来は、近江日野第14代城主蒲生貞秀が、居城音羽城付近の爺父渓(やぶそ/現在の日野町鎌掛、西大路の山林)に自生していたものを、観音堂に参詣した折りに見つけて持ち帰った。漬けものにしたところ、色は桜の花のように美しく風味が良いことから、この漬けものを京都の公家に献上した。公家がこれを後柏原天皇に献上すると大変喜ばれ、「近江なる 檜物の里の桜漬け これや小春のしるしなるらむ」という和歌を貞秀公の元へ送った。それ以来、日野菜の漬物は「桜漬け」の名で親しまれるようになったといわれている。
その後、日野町の吉村源兵衛という種子商が明治から大正にかけて親子3代に渡り改良を加え、現在のような細長い日野菜にしたといわれている。
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日野菜
日野菜のオリーブオイル焼き
日野菜ドレッシング
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