タイトル<野菜の学校>
● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2011年12月授業のレポート -
【当日の滋賀野菜とその料理】
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく

◆北之庄菜(かぶ) <アブラナ科>

 北之庄菜=北之庄かぶは日野菜かぶの変異種と考えられ、かぶの部分の直径が3〜4cm、長さ12cm程度。葉は全体が緑色で茎と葉脈のみ紫紅色(しこうしょく)。根の地上部は紫紅色、地下部は白色で肉質は緻密。ほのかな甘みとほろ苦さがあり、アクが少々あるのが特徴。北之庄菜は「100本取れたら100本違うやっかいな野菜」といわれるほど、出来にバラつきがある。


北之庄菜


 江戸時代末期から昭和30年代ごろまでは、主に農家の漬けもの用として北之庄町一帯で栽培されていたが、形にばらつきがあり、商品としては流通しにくいため、主に保存食用として自家消費分だけ栽培されていた。自宅で漬けものを漬ける人が少なくなったことや、日野菜におされ、次第に自然消滅してしまった。

 昭和61年北之庄地区のおばあさんがマッチ箱の中に保存していた種を偶然見つけ、数十年ぶりに復活させて、とれた種を試験場に預けた。芽が出ない年があり、平成13年に試験場から種をもらって、現在栽培を続けている。その後平成20年に発足した近江八幡商議所など産官学民による「近江八幡2010フォーラム」の農業政策・ブランドプロジェクトの一つのテーマとして北之庄菜の再生に取り組むことになり、生産実験や種とりなどが行われている。

 浅漬け、ぬか漬けなどの漬けもの向きだが、おろしても水分が少ないため、みぞれ鍋などにもよい。また油と相性がよく、ほどよい辛みがあるため、きんぴらなどの炒めものやおひたし、汁ものにも。

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