◆余呉山かぶら <アブラナ科>
余呉山は滋賀県の最北端に位置し、水田の少ない谷すじの地域。余呉山かぶらは山間部の焼き畑農業の伝統を残す貴重なかぶ。20〜30cmの小型のかぶで、葉も根も赤黒い。根の部分は10cmほどで、ドラム缶型やだるま型、根の部分の肉質は大変固く、葉に細かな毛がある。切ると、根の中は外ほど赤くなく、赤い色素の粒が点在している。
余呉山は昭和40年頃まで、炭焼きや養蚕が行われ、山深い急傾斜のところでも桑が植えられていた。この地域の桑は3年に一度、枝を切り払い、生い茂った雑木や下草とともに火をかけ、焼き払って、桑枝の更新を行う。焼き払った後に、山かぶらが作られた。7月20日頃までに枝などを払い、お盆の前に山に火を入れ、8月23日から9月上旬までに山かぶらの種をまく。かぶらを収穫した後、2年目はそばや小豆、3年目は桑の葉が茂るようになる。そして、再び火をかけるというサイクルで山の桑畑を守ってきた。現在では焼き畑はほとんどしなくなった。
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