タイトル<野菜の学校>
● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2011年12月授業のレポート -
【当日の滋賀野菜とその料理】
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく

◆余呉山かぶら <アブラナ科>

 余呉山は滋賀県の最北端に位置し、水田の少ない谷すじの地域。余呉山かぶらは山間部の焼き畑農業の伝統を残す貴重なかぶ。20〜30cmの小型のかぶで、葉も根も赤黒い。根の部分は10cmほどで、ドラム缶型やだるま型、根の部分の肉質は大変固く、葉に細かな毛がある。切ると、根の中は外ほど赤くなく、赤い色素の粒が点在している。

 余呉山は昭和40年頃まで、炭焼きや養蚕が行われ、山深い急傾斜のところでも桑が植えられていた。この地域の桑は3年に一度、枝を切り払い、生い茂った雑木や下草とともに火をかけ、焼き払って、桑枝の更新を行う。焼き払った後に、山かぶらが作られた。7月20日頃までに枝などを払い、お盆の前に山に火を入れ、8月23日から9月上旬までに山かぶらの種をまく。かぶらを収穫した後、2年目はそばや小豆、3年目は桑の葉が茂るようになる。そして、再び火をかけるというサイクルで山の桑畑を守ってきた。現在では焼き畑はほとんどしなくなった。


余呉山かぶら


余呉山かぶらの煮もの

  焼き畑は焼くことで虫が発生しなくなり、灰が肥料になるため、新たな肥料が不要。山かぶらの種は、まいた後、水を与えなくても発芽し、成長する。寒くなっても大きくなるため、10月下旬から雪を掘りながら3月下旬まで収穫を行った。

 現在では主に休耕田で栽培されている。昔ながらの焼き畑のかぶは、今のものより葉が小さく、香りが強かった。

 かぶらは、主にぬか漬けにする。収穫後、軒下などで干すと、かぶの赤い色はより濃くなる。渋みが強く、素朴な味で歯触りはねちっこく、味わい深い複雑な味がする。
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