● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2011年9月授業のレポート -
【食べくらべ後の主な感想・意見】
なすの塩もみは、どれも皮を感じた。八ちゃんはすは果肉が固く、さわやかな味わいで甘さも。皮は感じるが、プツッと切れて悪くない食感だった。筑陽は皮が気になったし、塩もみは合わない。千両は味がうすい。オリーブ油焼きにすると、肥後むらさきはやわらかくてとろけるよう。八ちゃんはそれほどトロトロしなくて果肉が緻密な感じ。千両は単調な味に思われた。れんこんは在来のほうがムチッとした食感。御津の青瓜はビロードのようなツルッとした食感で、こんなの初めて! 驚いた。
食べくらべたなす4種
(八ちゃんなす、千両、筑陽、肥後むらさき)
今日のなすは、どれも漬けものには向かないと思った。八ちゃんは、皮の食感が好ましかった。皮に当たったときのなす特有のキュッとしたイヤな感触がない。千両は個性がないし、筑陽は元々、向かない。オイル焼きにすると、香りが消えて残念な感じ。八ちゃんはエグミ、渋味が少ない。千両は、食べ慣れた味だが個性がない。焼きなすは肥後むらさきがベスト。べっちん瓜はメロンの香り。八角オクラは生でとてもさわやかで、普通のオクラとはまったく違った。
八ちゃんは紫色が薄く、種が多く、甘みがある。千両は食感がしっかりして、なすらしい。筑陽は粗く、味がしみこみやすい。肥後むらさきは膨満感があり、焼きなすにいい。八角オクラはエグいかな、青臭いかな、と思いながら食べたら意外においしかった!(→山本氏「"おいしい"はNG言葉。"なすっぽい"というのもNG。千両は一番よく食べられているから、若い人には、あれが"なす"と思われている傾向がある」)
八ちゃんは、食感がやわらかく、甘みがあった。オイル焼きにすると実と皮の一体感があり、バランスがよかった。筑陽は皮が固く、漬けものには不向き。焼きなすにして皮をむけば、エレガントな味わいになる。肥後むらさきも焼きなすはいい。八ちゃんはゴツゴツした印象でインパクトがあり、固そうなのにやわらかい。こんななすは生まれて初めて! どこにもありそうで、この味はない。
グループで1人、なすが食べられない人がいて、その人が言うには、千両なすのグジュグジュした食感がだめなのだとか。八ちゃんは食感がしっかりしているので、これなら食べられるとのこと。初めから八ちゃんに出合っていたら、なす嫌いにならなかったかもしれない。八ちゃんは野菜としての個性が感じられる。千両は塩にもオリーブ油にも、何にでも合いやすい。シェアNo.1の理由がわかった気がする。
食べくらべても、調理法によってかなり違ってくるので、劇的な違いは難しい。八ちゃんと肥後むらさきは、甘みがあって味わい深い。千両と筑陽は塩もみは水くさいというかさっぱりした感じ。千両は出回るために甘みと深みをなくした哀しいなすでは?姫路れんこんは味わい深かった。ぜひこのまま作り続けてほしい。
受講生からの「なすは自根がある?」との質問に対し、山根氏から、「八ちゃんは親の代から作ってきたが、重くないので商売にならなかったなす。面白い種屋がこの自根の苗を作って、40軒にあげた。私は20軒にあげたので、今では計60軒くらいが作っているはず。連作障害が出るから接ぎ木をすると本には書いてあるが、本当にそうか? 本は本を見て書いていることが多い。事実と違う」との回答がありました。
また、山本氏より、「八ちゃんには感動した。モタッとトロみがあるというか、種の部分にトロみがある。長岡の賀茂なすは花から結実まで30日くらいかけるが、それに近いトロみ感があった。皆さんにぜひ言いたいのは、野菜は自分で感じて食べてほしいということ。耳を澄まし、心を澄まし、自分の脳で感じることが大事で、書いていることは一番危ない(笑)。なすだって、どのくらい時間をかけて結実させるかで、緻密具合はまったく変わってくる。八ちゃんは確かに美人のなすだ(笑)」とのコメントもありました。
>>>
2011年9月「兵庫野菜」レポートトップに戻る