●「ブロッコリー・カリフラワー2009」報告-5●
―需給の現状を論じ、需要拡大の可能性を探るー
【試食の感想と総合討論】
 <茹で方>
  • ブロッコリー・カリフラワーは茹ですぎず、少しの塩を入れ、蒸し茹で・硬めがよい。
  • ブロッコリーの茹でと蒸し茹では香りが異なる。
  • 茹で方で食感が異なり、好みが違う。味付けも変わる。軟らかいと甘みが増す。
  • ブロッコリーとカリフラワーでは甘さが違うが、いずれも好きな方が多い。
  • カリフラワーで0.5% 塩ゆでで少し苦みが残る。その後の下処理、そして味付け(小麦粉・塩・レモン……)…いかにおいしく食べさせるかがポイント。

 <ドレッシング>

  • 6種のドレッシングはそれぞれ個性があり、多様な用途に使え貴重な経験、普及すべき。
  • 洋風なドレッシングがよく合うと思う。
  • ソースをかけて独特の味を活かす料理、今日はよい指針が得られた。

 <品種>

  • 品種により色の変化が料理のバラエティの広さにつながる。
  • ロマネスクは生食でもおいしい。
  • 紫カリフラワーはやや硬い食感。

 <ブロッコリーVSカリフラワー>

  • カリフラワーは盛り合わせの彩りがよく色彩のバラエティが豊富で調理特性が大きい。
  • ブロッコリーは盛んに食べられているが、カリフラワーもおいしい食べ方を提案すれば需要が増えるのでは?、すき焼きに白菜と入れたら甘みが増し、おいしかった(でもブロッコリーではまずかった)。
  • 昭和26年頃栽培し食べたが、味を考えた育種ではなかった。当時のカリフラワーはおいしかった。その後50年で品質は一段とよくなった。カリフラワーはブロッコリーより味が高尚だ。
  • カリフラワーは、現在の平均家族数4人以下では大きすぎる。食べきりサイズがほしい。
  • カットすると店持ちが悪い。
  • ブロッコリーの茎の白和え、白あんなど冬の料理の主題ともなり得る一品。
  • 西洋料理のレシピは、カリフラワーはブロッコリーより豊富である。カリフラワーは万能向きで和・洋・中華とも向く。あんかけ、味噌、椀種、中華スープなど灰汁が少なく上品である。カリフラワーの英国風(茹でで少し焦がしたバターかオリーブ炒め、レモン汁をかける)などは絶品である。ぜひカリフラワーも試していただきたい。


 <今後への提案・期待>

  • カリフラワーは栽培農家、量販店、消費者の三方が満足できる、密植栽培で小型化できる品種、栽培技術の確立が望まれる。
  • カリフラワーは高い。もう少し小型で安くなれば、普及は期待できる。
  • ブロッコリーに比べカリフラワーは概して大葉で密植できず、花蕾の茎部が短く、反収と収益が上がらない。核家族の消費に適する小型の物は、大型の物に比べ極端に単価が安く収益が得られない。カリフラワーは側花蕾・小型で収穫できる品種はまだ少ない。
  • カリフラワーはブロッコリーより栄養面で劣ると認識されている。同等に栄養・機能性があるとPRすべき、食べ方のPR、情報の発信が一層必要だ。
  • ブロッコリーは昭和30年頃には市場評価が低く、9月収穫のものは散々だった。その後の全国的な米余りで、水田転作された。多肥栽培で花蕾の品質(色・緻密さ)が悪く、品種改良と栽培技術の検討がなされた。カリフラワーは低温とその後の高温で開花し、出荷できなかった。どちらかというとブロッコリーのほうが作りやすく安定収穫できた、埼玉県下にはブロッコリーの優良産地が生まれた。しかしカリフラワーはよい産地が形成されなかった。
  • カリフラワーは温度の変化に、より敏感で、立葉でなく花茎が短く収穫労力がかかる。周年安定供給できるように品種改良すべきだ。
  • 洋野菜としてこだわらない方がよい。茹で方の工夫、食感の大事さ、生食など多様な品種で多様な食べ方を開発すべき。


【まとめ】

 たくさんの品種の現物展示、そしてこれら品種を使っての多彩な調理での試食。そしていろいろな立葉での感想を交えての活発なご意見ありがとうございました。
 ブロッコリー、カリフラワーとも、誰もが大好きで、彩りがよく簡単に調理・利用できる野菜のひとつです。また、いくつかの課題も勉強しました。将来の品種改良にも期待したいものです。これを機会に一層の消費が伸びることを祈念いたします。

【謝辞】

 試食用サンプルのご提供にあたり、最近の異常な気象環境下にあって適期収穫物の調達にご苦労があったと推察いたしますが、新鮮なすばらしい食材による試食提案が行われました。ここに厚くお礼申し上げます。

(文責 理事 真柄 佐弘)
 

ブロッコリー・カリフラワー2009
| 目次 | 開会挨拶 | 講演1 | 講演2 | 講演3 | 出品品種 |
| 試食(レシピ) | 感想と総合討論 | まとめ | 謝辞 |

 
>>> フォーラムのトップへ