第4回 野菜の品種別調理特性検討会(キャベツ)報告-9●
【試食・感想・質疑応答】
  • 提供いただいた品種特性に合わせスタッフで事前に調理検討・試食会を重ね、特性が生かされるように品種と料理名を決定した。

  • それぞれの品種特性に合った料理で、専門の方が調理されるとどんな野菜でもおいしく利用できると感じた。

  • 春キャベツと寒玉キャベツでこんなにも食感が変わると実感した。品種別でこんなに味が変わることを知り、より満足していただけるキャベツをユーザーに提案できたら良いと思う。

  • 当社はカット野菜を手がけている。角切り、彩り(内部の葉色も含む)、カット、歩留まり、キャベツは生食と加熱利用、使い勝手など総合的に評価している。

  • キャベツ栽培には青虫の発生があるが一番農薬を使わないのは「10月下旬播きで5月収穫の作型」である。低温期は害虫の発生が少ないため。基本的には春系の作型で昔から形成されてきた減農薬の作型である。(表4参照)

  • 料理担当者のご意見 蒸しと電子レンジでは食味が違って、電子レンジを使用する方が甘みがあった(加熱温度の違い?)。

  • 春〜中間〜寒玉系の解説 何を根拠に分類、品種が決まるのか?
    見た目と用途別で分けている。導入時の群で分け、春キャベツ、冬キャベツの血縁がどの程度関与しているかで表現し、これらの品種群が基になって新品種が育成される。現在は全てF1品種で、育種素材として使っている系統、栽培者側からは外観・作りやすく、消費者側からは用途別においしいものを目指して育成している。 講演で解説されたように、春系・寒玉系の分類がなくなりつつあり「品種名の選択」が重要となっている。まだ「品種名」や「春系、寒玉系、中間系」の分類では販売されず、季節により「灯台キャベツ」「岬キャベツ」「高原キャベツ」といった産地名称で販売されている。

  • キャベツの選び方(外観と葉質、重量をみて)
    概して春系は甲高の球形で早生だが耐寒性が弱い、寒玉系は扁平球、葉質が硬く、厚葉で晩生で重量感があり、低温期は加熱調理でより高糖度。特に高度成長時代に向かっていたとき、消費者は生食用に軟らかいものを好む傾向が強く、業務用では品質・歩留まり等から、用途別の要望が強くなり、作型と用途にかかる多様な中間品種の改良が進んだ。
    現在流通するものはほとんどがF1品種なので、国内に導入されたキャベツ群の中で春キャベツや冬キャベツの系統群が何%入っているかで春系〜寒玉系が決められる。現在、見た目は寒玉だが食べると軟らかいものもある。「寒玉系」でも、取り扱っている流通・加工関係の方々の判断で「外観・食感を見て中間〜春系」として通用する事もある。

  • 育成地の土質、環境に品質が影響されるようにも見えるが、品質的には差がなさそう。

  • 2011年の春〜夏作は6月の日照不足と低温で品薄で1玉400〜500円と高価だった。一昔前にはキャベツ御殿が建った。しかし今はそうはならない。価格が良ければ輸入する。安ければ買いたたかれて農家はいずれにしても儲からない仕組みになっている。消費者の皆さんは作り手を批判しすぎるのではないか、おいしい時期においしい食べ方をすることが大事。国内の農産物は需要と供給のバランスによって高騰すると輸入される。

  • TPPについて
    ※輸入先によって関税率は異なるが、キャベツは3%程度で、現在は輸入が増えても価格には国内産と大差がない。

    ※野菜の関税率 参考 http://www.maff.go.jp/j/kokusai/taigai/wto/pdf/ref_data.pdf

【閉会の辞・謝辞】
監査 川村 玲子
 この会が盛会にできましたことはご講演いただいた方、ご提供いただきました種苗会社のご協力、ご参加いただきました皆様方のおかげで、感謝いたします。

 品種特性を知り、その特性を生かした食べ比べのため、テーマに沿って品種を依頼するに当たり産地選定等にご苦労があったことと存じますが、春系、ボール系、寒玉系及びいろいろな中間系などいずれも大変良いサンプルをいただき深謝いたします。

 今回の検討会の内容が一般消費者はもとより、流通、加工、調理および育種メーカー様にとってお役に立てれば幸甚でございます。

以上

第4回 野菜の品種別調理特性検討会(キャベツ)報告
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