江戸東京・伝統野菜研究会代表。JA東京中央会で1989年より江戸東京野菜復活に取り組む。農林水産省選定「地産地消の仕事人・江戸東京野菜コンシェルジュ育成協議会会長。NPOミュゼダグリ理事。「食と農の応援団」(農文協)団員。江戸東京野菜推進委員会(JA東京中央会)委員。農政ジャーナリストの会会員ほか。食と農、伝統野菜に関する多数の役職に就く。著書に『江戸東京野菜(物語篇)』、監修に『江戸東京野菜(図鑑篇)』(いずれも農文協)。ブログ「大竹道茂の江戸東京野菜ネット」、「江戸東京野菜通信」で情報を発信中。
(今月の伝統野菜に関しては、後述の作物紹介の欄も参照ください。)
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●東京青果(株)の宮坂守文氏からは、最近の市場情報として、昨年の震災の影響で、野菜の市場入荷量が減っているとの情報が提供されました。特に大根は九州からも入れているものの、例年の1/2量。ただ単価は2.7倍にとどまっているとのこと。今月の食べくらべのテーマである「のらぼう菜」は、旬の野菜で、総称は「なばな」。なばなは、千葉からの入荷が圧倒的で、館山、君津などの房総半島が栽培の中心です。特にこの時期は露地物が主流になっています。なばなはもう少し安く提供できるはずなのにそうならないのは、本来軸まで食べられるものを先のほうしか市場出荷できないためで、もったいないことだといったお話もありました。
●事務局スタッフで、野菜の調達を担当している高橋芳江さんから、今月の野菜の生産者さんからの声の一部が届けられました。
三河島菜は小平市の宮寺光政さんの栽培によるもの。「三河島菜は栽培に100日くらいかかり、この時期は上部だけを摘むので小さいが、小さいなりにおいしい。また横縞が入ることがあり、それもまったく問題ないのだが、見かけがきれいなものばかり求められる傾向がある。後関晩生はトウ立ちしても、茶色の葉も根っこも食べられることも学んでほしい」。
のらぼう菜は立川市の清水重雄さんの栽培によるもの。「市場や直売所に出すには、茎を落としてそろえなければならない。おいしい部分を落とすことは本当にしのびない」。
真菜は世田谷区の大平農園から。小松菜の端境期に作られているものだそうです。
●スタッフである管理栄養士の松村眞由子さんからは、葉もののゆで方のアドバイスがありました。「今日の食べくらべのテーマ野菜である茎立ち菜は、沸騰した湯にまずは茎のほうだけ入れて10秒、全体を沈めて15秒、裏返して15秒ゆでたもの。塩は入れていません。塩を入れるとやわらくなる、色がよくなるなどと言われますが、そのための塩の量はかなり入れないと効果は出ません。青菜をゆでるコツは、たっぷりの熱湯でふたをせずに少量ずつゆでて水にとること。逆に、白菜は元々水っぽい野菜なので、塩を入れると浸透圧の関係で水っぽくならずに仕上がります」。
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