タイトル<野菜の学校>
● 2010年度「野菜の学校」 ●
- 夏の特別課外授業「日本全国なす自慢!」レポート -
【意見交換・自由討論・発表】
 食べくらべのコーディネートは、レポートを終えたばかりの農産物流通コンサルタントの山本謙治氏。食べくらべは、通常の野菜の学校の場合と同様、「おいしい・まずい」の表現はタブーです。各自で食べくらべ、「見た目」「食感」「香り」「風味」+「各自が決める指標」の5つの指標それぞれに評価をし、五角形のグラフに記してから、意見交換・発表がなされました。試食のなす料理の感想も、並行して進めていただきました。

 今回は発表の時間があまりなかったのですが、主な意見は次の通りです。

 

●神奈川の青果卸業者。今回試食して、なすは生で食べるものではないなと、グループみんなで実感しました(笑)。水なすも1回はおいしいですが。千両2号は食べ慣れているせいもあるのでしょうが、いずれの調理でも標準レベルの評価でした。お金を出してもまた食べたいと思ったのは、新潟焼きなす。エグミが心地いいのが意外でした。十市小なすは渋みを好む人にはいいと思いますが、やや抵抗がありました。巾着なすは種が多く、私は気になりました。水なすも、生より、私は加熱したほうが好きで、日頃から素揚げが一番と思っています。


自由討論風景

●神奈川農業試験場の研究員。今回、神奈川産のなすであるサラダ紫を持参しました。サラダ紫は水なすのF1種として開発したもので、生でも加熱調理でもおいしいと自負しています。おすすめは、電子レンジに1分かけてから、裂いておかかじょうゆで。少し加熱したほうが、確かにおいしい。ただ、調理時間も考えて品種を開発していくことが必要ではと考えています。千両2号は食べ慣れているので、安心して食べられますね。

●大黒なすの生産者。大黒なすは、自然農法で16年かけて作りあげてきたものです。全国で私だけが作っているなすです。在来なすは個性的で、なすの世界を広げ、食卓も豊かにすると思っています。

●料理研究家。千両なすはオーソドックスでオールマイティななすだと改めて思いました。巾着なすはデザートみたいな香りがして、甘みと酸味もあり、とても個性的ななす。新潟焼きなすはカラメル臭があり、甘くて、よい味でした。十市小なすは見た目どおりの苦みがあり、とても個性的な印象でした。

●料理研究家。千両なすは、個性がとぼしい優等生の良い子、比べる他のなすは、アクも個性も強い、まったくあの子って…と例えられるでしょうか。だからいいんじゃないかな、と思いました。十市小なすはアクが強くて苦手な人がいたようですが、逆にその個性を生かせればおいしいものになるのではと感じました。アク=甘さではと、私は思っています。アクは生以外は薫香を感じ、それがうまさに通じるのではと、切り口のアクに目覚めた経験でした。

●築地の青果仲卸商。今回、西条絹かわなすの調理を提案させていただきました。絹かわなすに出会った時、何と美しい食感!、安価でこんなにおいしいなすがあったのかと衝撃を受けたほどでした。仲卸商として、今後は、少量でも各産地のおいしい野菜を知らせたいと思っています。

●小布施なすの生産者。小布施なすを復活させた、ただ一軒の生産者です。小布施なすは普通のなすの1/3量しか収穫できないし、よいものとなればさらに少なくなる、作るのが難しいなすです。でも、次の世代にぜひつなげていきたいし、その価値のあるなすです。なすは、手早く、おいしくすぐ料理できる野菜で、かつてはもっと食べたものでした。なすのそんな特長も、もっと伝えたいと思っています。

●宮城県の種苗会社代表。東北と九州を比べると、なすの食文化は、南は煮たり、焼いたりが中心で、北は漬ける文化です。それだけ多様なのだから、個性のある品種を作るのも、これからは大事なことだと思いました。なすだけでなく、かぶも地方品種が多数残っている野菜です。大事な遺伝資源を守りながら、今後も活用していきたいと考えます。

「日本全国なす自慢!」−なすとごはんのおいしい関係−
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