田中氏は平城遷都1,300年記念事業を担当後、2008年に新設されたマーケティング課で、地域振興における「食」の重要性、地元食材を使う料理の価値、大和伝統野菜の可能性など、各方面からの意見を踏まえて、大和伝統野菜を今後の奈良県農政の成功モデルにすべく活動しておられます。今回は奈良という稀有な地ならではの歴史・地理から説き起こして、大和伝統野菜の動向を、関西弁で軽妙にお話しくださいました。
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●スタッフである管理栄養士の松村眞由子さんからは、大和野菜を調理・味わう時のちょっとしたアドバイスがありました。
・大和丸なすは緻密な肉質が特長。油で焼く時にはスポンジ状の果肉に部分的に油がしみこみがちなので、なすに油を塗るとよい。
・また香りごぼうはやわらかいので、皮はたわしでこする程度にしてして、水に入れてもすぐ出す、短時間で調理するなど、香りを大事にしてほしい。
・大和いもの皮は黒、近くの伊勢いもの皮は白。洗った後、水分をよくとってから皮をむくと、かゆくなりにくい。
・大和きくなは、いわゆる春菊に比べて、大きく肉厚。茎が固いので、葉と茎は別々に調理したほうがおいしくできる。生で食べるのがお薦めで、コチュジャンのたれや粒マスタードドレッシングが美味。しめさばのアクセントにもなる。
●調理担当の領家彰子さんは、教室に先立って大和まなの生産者農家を訪ねた体験を、映像と共にレポートしました。生産者の上田喜章さんの家は江戸時代中期からの代々の農家。大和まなは自家採種で、水田の裏作として続けてきたそうです。採種のポイントは、筋っぽくなく、生育が早く、エグミが少なく生でも食べられる、うぶ毛が少ないこと。ある時から茎が赤いタイプが出てきて、料理屋さんが好んで使っています。大和まなの茎立ちも甘みがあっておいしいそうです。
●東京青果(株)の宮坂守文氏からは、東日本大震災の市場への影響についての話がありました。野菜特にきゅうりは福島が大産地なので、今後の入荷に影響大と予想されるが、市場に出回る野菜は行政の管理下にあるので、安心して食べてほしいと強調しました。
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